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●アスベスト(石綿,水和性珪酸塩鉱物)
1. アスベスト(石綿)とは、どのような様な物質ですか?
アスベストは、他の一般繊維状鉱物に比べて種々の優れた物理特性があり安価なため、広く使用されていましたが、近年肺ガン等の悪性腫瘍を引き起こす原因物質であることがわかり、国内の各産業分野においても使用の禁止や代替えが相次いでいます。 |
2. なぜ、水道水中にアスベストが混入しているのでしょうか?
国内でも水道管の強度を上げるためにアスベストセメント管が1932年から採用されましたが、アスベスト管の侵食や腐蝕により水道水中に大量に混入するため、人体への危険性や悪影響の恐れから、1988年に全面使用禁止および製造中止になっています。 水道局でも水道水のpHが低いと、アスベストセメント管等を腐蝕溶解するため、腐蝕性を表す新しい指標(ランゲリア指数)を用いて水質管理をするようになっています。 最近では水道管の腐食による混入ばかりでなく、ビル等の建築解体物中のアスベストからも、水道原水中に混入しています。
3. アスベストセメント管は現在どれ位使われていますか?
国内の全水道管のうち、約20%がアスベストセメント管です。現在もアスベストセメント管の撤去工事が進められていますが大都市や住宅密集地域の増加により完全に取り除くことは困難といわれています。
4. どれ位の大きさのものが、どれくらい含まれているのですか?
ある実態調査では、水道水1リットル中に多い所で実に180万本、平均でも92万5千本ものアスベスト繊維が含まれていました。この調査された水道 アスベスト管中に存在するアスベスト繊維のうち44%が直径0.04~0.06ミクロンという極めて小さなものであり、さらに小さい0.02ミクロン以下 のアスベストが34%水道水中に溶けていたことが報告されています。 このような針状結晶体は、従来の浄水器では除去不可能です。 ※微小なアスベスト繊維(石綿)の大きさは直径0.02ミクロン×長さ0.3ミクロンです。
5. アスベストの人体への影響は?
アメリカの報告では直径が0.05ミクロン以下長さが5ミクロン以上の細くて長い繊維ほど発ガン性が高いと発表しています。アスベスト繊維が小腸壁 を貫通し、血中に移行、腎皮質や膵臓、肝臓、腸間時などに蓄積され消化器系(食道・胃・腸)ガンや肺ガン、腹膜ガンなどが発生することが知られています。 ここで一番大切なことは、水道水中のアスベストは沸騰しても消えずどんなに小さくても、体内に蓄積されて発ガン性そのものを失わない物質である、ということです。
6. 水道水質基準について
日本の水質基準(アスベスト)・・・現在、基準値は設けられていません。 大気の場合 労働安全衛生法 大気1mL中 2本以下 大気汚染防止法 大気1L中 10本以下
●溶解性鉛
1. 鉛とは、どのような金属ですか?
水道用鉛管を使用している地域や家庭において、水道水中へ溶け込んでいる物質です。溶解性の鉛イオンは 神経毒性、腎毒性、タンパク親和性が非常に強く、消化管から吸収された鉛の約85%は赤血球に沈着し、やがて骨に沈着します。血液中の鉛濃度が 0.5~0.8ppmレベルで、疲労感・不眠・神経過敏・頭痛や消化管障害がみられ、特に小児の場合は、明らかに脳の成長を阻害する恐れがあることが世界 的にも知られており、知能(IQ)や行動に重大な影響を与えることが調査結果により報告されています。 |
2. なぜ、水道水中に鉛が混入しているのでしょうか?
水道水中に検出される鉛のほとんどは、水道配管に使用されている鉛管が原因になっています。鉛管配管を使用されている場合、朝一番の開栓直後の水は、水道水の滞留により鉛が水道中に必ず溶出しています。
3. 水道用鉛管は現在どれ位使われていますか?
鉛が、その神経毒性や特に子供の脳の成長を著しく阻害する恐れがあることから、水道用鉛管も1987年に使用制限措置が取られ、現在、水道用鉛管は使用禁止となっています。 現在も水道用鉛管の撤去工事が厚生省通知により進められていますが、国内の全世帯の5分の1(20%)にあたる、約852万世帯が鉛製水道管を使用したま まの状態になっています。しかし、各家庭で使用されている給水用鉛管を入れるとその2倍以上の家庭で鉛製水道管が使われている可能性が指摘されています。 各家庭の場合は、家庭敷地内の給水管も個人財産の一部ですから、鉛管の取り替えは各個人が行なわなくてはならないのが現状です。しかし、鉛溶出の有害性に ついての認識があまり行き渡っていないことや、鉛管の取り替えに平均50万円の自己負担が必要なため、なかなか取り替えが進んでいないのが現状です。
4. 水道用鉛管を使用している家庭では、どれ位の鉛が溶出しているのですか?
水道局の調査では、鉛管配管の家庭の場合、24時間水道水を使わずに置いておくと、1.65mg/Lもの鉛が溶け出しているとの報告が出ています。 これはアメリカの水道基準値の約110倍もの濃度です。水道局では、朝一番の水道水は絶対に飲まないで、しばらく捨て水にするように指導していますが、た とえ流し出したままの水道水でさえ、鉛管配管の場合は、すでに水質基準値の2倍の0.025mgの鉛が、1リットル中に含まれていると報告しています。 諸外国においても、子供の血中鉛濃度の上昇や機能低下は水道水中からの鉛摂取が主原因であると報告されています。
5. 鉛の人体への影響は?
【血液中の鉛濃度と人体への影響】
0.3mg/L
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知能低下、特に小児の場合ほど影響が大きく、疲労感や筋肉弛緩、胃腸障害、抹消神経障害などの慢性中毒症を引き起こす。 |
0.5mg/L
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神経障害・消化管障害・疲労感・不眠・頭痛・関節痛・便秘 |
1.0mg/L
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脳炎・痴呆・腎臓障害 |
鉛の毒性は蓄積性があり一度体内に摂取すると外に代謝することが非常に困難な物質です。摂取された体内に蓄積された鉛濃度が半分の濃度になるまでに20年以上かかることが報告されています。 水道鉛管に滞留している1.65mg/Lもの鉛を摂取すると、脳炎・痴呆・腎臓障害を起こすのに危険有害濃度です。子供が知能低下を起こすと言われている 血中濃度の5.5倍もの濃度であり、なによりも、 USEPA(アメリカ環勢保護庁)が水道水中の鉛濃度と血液中への鉛溶解度について算出した式を用いると1.65mg/Lもの鉛を体内に入れると、 0.99mg/Lもの鉛か血液中に侵入してしまうことが判ります。間違っても「朝一番の水が身体に良い」などとは思わないでください。
●トリハロメタン
1. トリハロメタンとは、どのような物質ですか?
トリハロメタンとは、下水処理場やし尿処理場の排水や水中に含まれているフミン質(有機態窒素化合物) や親水性酸などと消毒剤として用いられている次亜塩素が反応して生じる消毒副生成物です。トリハロメタンは発ガン性が確認されたことによって、水質基準が 決められた初めての有害化学物質です。 |
2. なぜ、水道水中に溶け込んでくるのですか?
浄水場で消毒の為に添加している次亜塩素と、水道原水の富栄養化により増加しているフミン質や親水性酸等の有機化合物が化学反応することにより発生する消毒副生成物質です。
3. 水道水中にどれくらいの濃度で溶けているのですか?
水道局の調査では、平均0.028mg/L(最大値で0.045mg/L)のトリハロメタンが、一般家庭の水道水中から検出されています。日本国内 でのトリハロメタンの水質基準値は0.1mg/L以下ですから、基準値の1/3以下ではありますが、アメリカ国立がん研究所(NCI)では、「わずかな量 でも発ガン性物質を取り込むと、何らかの危険が生じ、その積み重ねは危険の増大を招く」と忠告しています。しかし、国内の水道水も、ドイツの水道水質基準 値 0.025mg/Lなら日本の水道水のほとんどが飲料不適の水となります。
4. トリハロメタンの人体への影響は?
発ガン性、腎毒性、腎臓腺腫、肝毒性、肝細胞ガンなどを誘発することが明らかになっています。
5. どうすれば、取り除けますか?
トリハロメタンはご存じのように、-度沸騰させれば取り除けますが、沸騰させると水道水中の揮発しない有害化学物質(硝酸性窒素やホルムアルデヒ ド)や有害金属(水銀や鉛)を濃縮することにもなり、煮沸や冷却の時間や手間を考えれば、クリスタル・ヴァレー浄水器を使うのが効果的です。活性炭方式の 浄水器では、トリハロメタンを除去することは非常に困難です。 ※トリハロメタン類の最小分子の大きさは約0.0028ミクロンです。
6. 水道法水質基準について
日本の水質基準(総トリハロメタン)・・・・・・0.1mg/L以下 ドイツ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.025mg/L
●ホルムアルデヒド
1. ホルムアルデヒドとは、どのような物質ですか?
防腐剤や殺菌剤としてよく知られているホルマリンの原料となる物質で、独特の刺激臭を持つ物質です。 |
2. なぜ、水道水中に存在するのでしょうか?
ホルムアルデヒドは有機物質のフミンなどが、塩素処理やオゾン処理を行うことで生じる消毒副生成物であり、非常に高い発生率で発ガン性を有します。 ※ある水道局の調査では、オゾン処理を行った水道水中で平均9.35μg/L最大値10.9μg/Lのホルムアルデヒドが検出されています。
3. オゾン処理による高度浄水プラントが導入されれば、浄水器は不要になると言われていますが本当ですか?
河川水質の悪化にともない、オゾン処理法による浄水方式が多数導入されつつあり、あの嫌な塩素臭や、かび臭が無くなる為に「浄水器などは不要になる 時代が来る」と言われています。しかし、オゾンそのものが、呼吸器系毒性や、発がん性を有しているばかりか、オゾン処理を行なうことで、有機物やケトン、 臭素などがとオゾンが反応し、ホルムアルデヒドや臭素酸などの有機炭素化合物(TOX)が増加してしまうことが判っています。しかし、水道原水の悪化に伴 い、高濃度の残留農薬や、水道水中のあの嫌なかび臭を取り除くためには、処理コストを考えた場合、オゾン処理以外に現在のところ有効な処理方法が見当たり ません。環境の悪化に伴い、もうすでに浄水処理は限界に達していると言えます。
4. オゾン処理に伴う危険性とは、どのようなものでしょうか?
先にも述べましたようにオゾン処理浄水法は、オゾンそのものが、呼吸器系毒性や発ガン性を有しているばかりか、このオゾン処理を行うことで、ホルム アルデヒドなどの有機ハロゲン化合物(TOX)を増加させてしまいますし、もう一つの問題点として、このホルムアルデヒドは、100℃で10分間煮沸して も揮発しないので取り除けないということが判っています。
5. ホルムアルデヒドの人体への影響は?
発ガン性、変異原性、催奇形性、神経毒性などがあり、非常に高い発ガン性を有している化学物質です。
6. 水道法水質基準について
日本の水質基準・・・・・・・・・ホルムアルデヒドについて現在、基準値は設けられていません。 WHO・・・・・・・・・・・・・・・・・0.9mg/L ※ホルムアルデヒドの最小分子の大きさは約0.00019ミクロンです。
●亜硝酸性窒素・硝酸性窒素
1. どのような物質なのですか?
最近特に問題となっている農薬、除草剤、肥料、家畜の糞尿、下水処理場など腐敗した動植物の窒素成分が微生物により分解を受けた結果生じてくる物質です。河川水の富栄養化や地下浸透作用により井戸水や水道水中に混入してきていることが明らかになってきています。 |
2. なぜ、井戸水(地下水)や水道水中に混入してくるのですか?
下水処理場や、し尿処理場の廃水やゴルフ場の乱開発、農業における収穫量増産のための農薬や肥料の撒き過ぎ等により、これらの人工化学物質が自然界で充分に分解できなくなり、井戸水などの地下水が汚染されています。
3. どれ位、汚染が進んでいるのですか?
環境庁が実施した長野県の地下水調査では、亜硝酸性室素・硝酸性窒素の濃度が水道水質基準をはるかに超えていました。地下水調査中、最大66.0mg/Lもの硝酸性窒素を検出したことが判っています。「井戸水だから安全だ」とはいえなくなっています。
4. どのような毒性を持っているのでしょうか?
硝酸性窒素は、酸素の少ない状態(人体や土の中など)では容易に亜硝酸性窒素に変化します。問題は、この亜硝酸性窒素です。亜硝酸性窒素は、人の胃 の中で食品中の窒素化合物と反応して発ガン性物質であるニトロソアミンという物質を作り出すばかりか、血液中のヘモグロビンとも反応して、メトヘモグロビ ンを生じます。 メトヘモグロビンに変化してしまうと、酸素を運ぶ能力がなくなり、 酸欠・窒息状態(チアノーゼ)をまねきます。これがメトヘモグロビン血症です。特に乳幼児では、亜硝酸性室素を摂取するとメトヘモグロビン血症を起こしや すいため、WHO(世界保健機関)では、「硝酸性室素で22mg/L以上含む水道水を乳幼児に飲ませてはいけない」と勧告しています。2014年4月1日 より、日本の水道水質基準でも亜硝酸性窒素が独立基準項目として0.04mg/Lち、大変厳しい基準になりました。 毒性試験では牛などの反芻動物の場合、人の赤ちゃんと同じように胃の中で亜硝酸性窒素に還元されるため100匹の牛の内、50匹が死んでしまう濃度が硝酸 ナトリウムで450mg/kg(硝酸性窒素では、74.1mgN/L)と言われています。100匹のラットやマウスの内、50匹が死んでしまう濃度が亜硝 酸ナトリウムで85~220mg/kg(硝酸性窒素では、25.9~66.9mgN/L)といわれています。人での最小致死量は亜硝酸ナトリウムで3mg /kg(亜硝酸性窒素として0.1mgN/L)といわれています。実際に血液中の亜硝酸性窒素濃度が0.3mg/Lになって4歳の幼児が死亡しています。 ※亜硝酸性窒素の最小分子の大きさは約0.00042ミクロン 硝酸性窒素の最小分子の大きさは約0.00044ミクロンです。